■X線装置に関する放射線防護  
1.基本事項  
■組織・臓器レベルの放射線影響
 

細胞レベルで放射線感受性に差があるように,組織・臓器レベルではもっと放射線感受性に差が見られます。組織・臓器レベルの放射線感受性を決定する法則としてベルゴニー・トリボンドの法則が古くから知られています。この法則は未分化の幹細胞から,機能細胞へと分化していく系列の組織・臓器に適用されます。
つまり,

1)細胞分裂頻度の高いもの
2)将来,細胞分裂の回数が大きいもの
3)形態および機能的に未分化のもの

これらの組織は,放射線感受性が高い(放射線に弱い)。例えば,非常に分裂頻度が高く,将来分裂回数の高い,リンパ組織や造血組織および腸上皮は非常に放射線に弱い。一方,分化が終了した神経組織や筋組織は放射線に強い。

●さらに詳しい知識
このような組織・臓器の放射線感受性から各組織臓器の組織耐容線量が調べられています。TD5〜50/5とは,1日2Gyの単純分割照射をしたとき5年以内に5〜50%の患者に障害が見られる総線量を示しています。
やはり,骨髄は耐容線量が低く,放射線に弱く,中枢神経は耐容線量が高いレベルで示され,放射線に強いことが理解できます。