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人体を放射線の被ばくから守る防護用具にはさまざまなものがあります。身体に着けて体幹部をカバーする防護衣や防護コート、身体の一部を防護するもの、例えば、甲状腺や頚部を防護する甲状腺防護用具、眼を防護する防護眼鏡、顔面を防護するフェイスガード、手を防護する防護手袋や手ガードがあります。一方、身に着けない防護用具として、遮へい用の防護衝立、防護カーテン、防護シートがあります。 |
(1)防護用具の用途と種類
防護用具は、原子番号の大きい元素から成る素材を吸収体として用い、放射線の透過を低減させるものです。放射線作業をする者の被ばく線量を低くするためには、放射線の種類、エネルギーや放射線の扱いを考慮し、防護用具を選択する必要があります。表1に放射線防護用具の用途と種類を示します。
放射線の透過性が高いX線やγ線でも、低エネルギーの場合は、比較的薄い鉛で十分な遮へい効果が得られますが、高エネルギーでは、遮へい体を厚くしなければ必要な効果が得られないことがあります。ただし、防護用具の遮へい体を厚くすると用具そのものの重量が増すため、長時間身につけて作業するには身体への負担が増します。このような場合は、防護衝立などの防護用具で補うことになります。
(2)鉛当量とX 線の遮へい能力
X線やγ線を遮へいする能力は、防護用具に用いる遮へい体の素材の種類と厚さに依存します。ある物質の遮へい能力に相当することを「・・当量」と呼びます。例えば、鉛の遮へい能力に相当することを「鉛当量」と呼びます。鉛当量の試験方法は、JISのX 線防護用品類の鉛当量試験方法があります。X線用の防護衣には、通常、0.25mm、0.35mm、0.5mm 鉛当量のものがあります。鉛の厚さと遮へい能力の関係を示すと、管電圧100kVのX線装置における散乱X線の遮へい能力は0.25mm鉛当量で93.8%以上、0.35mmで97.1%、0.5mmで98.9% とされています。 |
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