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9 放射線による細胞膜の損傷
放射線のターゲットは、DNA 以外には細胞膜であると考えられています。
放射線による細胞膜の損傷は、細胞膜のリン脂質の過酸化が重要と考えられています。
放射線によって生じたラジカルが細胞膜のリン脂質に作用し、過酸化脂質が生成されます。細胞膜損傷も軽度、中程度、重度と、損傷の程度によって細胞応答も異なってきます。
例えば、過酸化リン脂質が軽度に生成された場合、この損傷に応答して、生体防御機構のストレス応答機構が活性化され、細胞の抗酸化応答が誘導された場合には、正常に生存できます。しかし、中程度の過酸化脂質が生成された場合には、ストレス応答機構としてプログラム細胞死が誘導され、アポトーシスへと陥ることが知られています。また、非常に重度に過酸化リン脂質が生成されると、細胞の構造や代謝が傷害を受け、ストレス応答機構が誘導されなくなるので細胞は崩壊します。つまり、ネクローシスに陥ることになります。 |
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