放射線防護技術編
参考資料
1.放射線生物学 参考ムービーはこちら

10 DNA損傷の修復

(1)塩基除去修復

 この修復は、塩基損傷の部分だけを切り出して正しい塩基を挿入する修復です。

図5 塩基除去修復
図5 塩基除去修復

 チミングリコール(塩基損傷)に特異的に働くDNA グリコシラーゼによりDNA の糖と塩基の間の結合が切られ、塩基損傷部位を取り除き、AP 部位ができます。

 AP 部位にAP エンドヌクラアーゼが作用して、DNA の糖‐リン酸のエステル結合を切断し、AP 部位を持ったヌクレオチドを除去します。ヌクレオチドの抜けたあと、DNA ポリメラーゼが反対の塩基に相補的なヌクレオチドを連結させます。最後に、リガーゼが連結したヌクレオチドの3’‐OH 末端と5’リン酸末端をエステル結合させることにより修復が完了します。

(2)組換修復

 放射線よりDNA2本鎖切断が生成されると、RAD50、NBS1、Mre11複合体によって損傷部位が認識されます。

 その後、ヌクラアーゼによって、3’側に1本鎖部分が突出します。1本鎖部分にRPA が結合し、その後RPA を介してRAD52が1本鎖に結合し、RPA とRAD51が置き換わります。RAD51とRAD54の作用によって損傷のない相同DNA 鎖と対合し、組み換わり、最後に交叉部分が切断され、ポリメラーゼによって再結合されます。

図6 組換修復
図6 組換修復

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