放射線防護技術編
参考資料
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18 染色体異常

 染色体は光学顕微鏡で観察することができるため、放射線被ばくをした細胞の生物学的影響の指標として用いられています。特に、被ばくした人の血中からリンパ球を採取し、細胞分裂させることによって染色体異常を観察します。

 染色体異常には染色体型異常と染色分体型異常があります。G1またはS 期に被ばくを受けた細胞では染色体型異常が見られ、末端欠失、逆位、転座、環状染色体、二動原体などが見られます。

 環状染色体や二動原体では細胞は増殖できずに細胞死に向かいます。末端欠失、逆位、転座では細胞は増殖することは可能ですが、変異を伴っているため、がんを引き起こす可能性があると考えられています。G2期に被ばくを受けた細胞は染色分体型異常が見られ、末端欠失がよく観察されます。この異常も変異を伴っているため、癌を起こす原因となります。

図17 染色体型異常と染色分体型異常
図17 染色体型異常と染色分体型異常


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