放射線防護技術編
参考資料
1.放射線生物学 参考ムービーはこちら

19 組織・臓器レベルの放射線感受性

 細胞レベルで放射線感受性に差があるように、組織・臓器レベルではもっと放射線感受性に差が見られます。組織・臓器レベルの放射線感受性を決定する法則としてベルゴニー・トリボンドの法則が古くから知られています。この法則は未分化の幹細胞から、機能細胞へと分化していく系列の組織・臓器に適用されます。

 つまり、・細胞分裂頻度が高く、・将来、細胞分裂の回数が大きく、・形態及び機能的に未分化である組織は、放射線感受性が高い(放射線に弱い)といえます。例えば、非常に分裂頻度が高く、将来分裂回数の高い、リンパ組織や造血組織及び腸上皮は非常に放射線に弱く、一方、分化が終了した神経組織や筋組織は放射線に強いことが知られています。
 

〔さらに詳しい知識〕

 このような組織・臓器の放射線感受性から各組織臓器の組織耐容線量が調べられています。TD5〜50/5とは、1日2Gy の単純分割照射をした時、5年以内に5〜50% の患者に障害が見られる総線量を示しています。

 やはり、骨髄は耐容線量が低いので、放射線に弱く、中枢神経は耐容線量が高いレベルであり、放射線に強いことが理解できます。


表1 放射線感受性による組織の分類
表1 放射線感受性による組織の分類

図18 各組織臓器の組織耐容線量
図18 各組織臓器の組織耐容線量


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