放射線防護技術編
参考資料
1.放射線生物学 参考ムービーはこちら

23 放射線による白内障

 放射線利用に関する検診の検査項目には、血液検査、爪及び眼の検査があります。いずれも増殖が盛んな器官です。放射線の眼に対する晩発影響としては白内障が重要です。この白内障は2Gy の被ばくによって水晶体混濁が起こり、臨床的に問題になるのは5Gy 以上の被ばくによって起こります。

 水晶体の大部分は線維細胞からなっています。細胞は分裂し、水晶体線維に分化していきますが、放射線照射によって細胞分裂が阻害され、異常線維が除去されることなく後極に蓄積することにより水晶体の混濁が始まります。この白内障は直接生命にかかわるような疾病ではありませんが、視力障害をきたし日常生活に大きな不便を与えるため、重大な晩発効果と言えます。

図19 放射線による白内障
左:後壁皮質の混濁を示す白内障
右:中心性前嚢下混濁の初期

図19 放射線による白内障


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