放射線防護技術編
参考資料
1.放射線生物学 参考ムービーはこちら

25 放射線による突然変異の発生

 放射線は遺伝子を傷つけ、突然変異を誘発します。生殖細胞に誘発された突然変異は次世代、さらにその子孫へと伝えられ、遺伝性疾患の増加につながります。遺伝的影響の際立った特徴は、その影響が長く子孫にまで持続することにあります。

 放射線によって突然変異を誘発することは植物をはじめ、大腸菌、キイロショウジョウバエ及びマウスへの影響から調べられてきました。

 突然変異率を変化させる要因は以下のとおりです。

表4 自然突然変異率と放射線誘発突然変異率
表4 自然突然変異率と放射線誘発突然変異率

    線量:被ばく線量に依存して突然変異率も増加する。
    分割照射:多分割照射で、小線量を繰り返し照射した場合は、1回照射よりも突然変異率は低くなる。
    線質効果:放射線の種類、特に線エネルギー付与(LET)が異なった場合、LET が高くなるにつれて突然変異率は高くなる。
    生殖細胞の時期:精原細胞や卵原細胞は突然変異率は低く、減数分裂後の精母細胞や卵母細胞は高くなり、精子では突然変異率は低くなる。
 ヒトにおける遺伝的影響について調べた研究結果は多くありません。しかし、国際放射線防護委員会(ICRP)は、安全を強く意識して、遺伝的影響及び身体的影響を含めて線量限度を提案しています。


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