放射線防護技術編
参考資料
1.放射線生物学 参考ムービーはこちら

26 環境放射線の存在

 人類はその誕生以来、自然放射線を被ばくしてきました。この自然放射線源は次のとおり分類されます。

図20 世界と日本の環境放射線の実態
 世界平均はUNSCEAR1993年報告書にまとめられた集団実効線量から年間実効線量を算出した。
 日本については原子力安全研究協会編“生活環境放射線”1992より転写。

図20 世界と日本の環境放射線の実態

(1)宇宙線

 1次宇宙線としては大部分は水素の原子核の陽子(プロトン)です。
 2次宇宙線はプロトンが大気圏に存在する原子核と相互作用により生成される中間子、プロトン、中性子やγ 線、X 線などがあります。この宇宙線は標高が高くなると被ばく量も増加し、環境放射線の約10% を占めます。

(2)宇宙線により生成される放射性核種

 2次宇宙線が大気中の原子との相互作用によって生成される放射性核種であり、14C、Be、22Na、H などがあります。

(3)大地の放射性核種

 地球創生以来の放射性核種には55種類あり、壊変系列(ウラン系列、トリウム系列、アクチニウム)が41種類、長寿命の14系列があります。これらの系列に属する核種からはα 線、β 線、γ 線が放出されます。このウラン系列の222Rn とトリウム系列の220Rn が自然放射線の50%を占めています。また、長寿命の40K はγ 線を放出し、自然放射線の15% を占めています。 カリウムは人体の構成元素でもあるため、人体は常に放射線を放出していることになります。


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