放射線防護技術編
参考資料
1.放射線生物学 参考ムービーはこちら

28 医療被ばくと職業被ばく

 医療被ばくは診断と治療における被ばくに分けられます。被ばくを招く診断にはX 線と核医学検査がありますが、X 線撮影による被ばくは高頻度に実施されています。通常、最も受けている胸部のX 線撮影での被ばくは1件当たり約0.1mSv であり、透視撮影では約3mSv、CT撮影では5mSv の被ばく量です。

 日本の医療被ばくの全体は、平均2.2mSv と世界で最も高い国の一つです。

表5 種々のX線診断の実施頻度と平均線量
表5 種々のX線診断の実施頻度と平均線量

 また、獣医師などの職業被ばくは十分に注意しないと大きくなってしまいます。獣医師は動物の保定のため、被写体となる動物に近い位置にいることが多く、X 線を照射した時被写体の動物から散乱線が生じ、散乱線による被ばくは数10μSv にもなります。しかし、散乱線はエネルギーが弱いので、防護エプロンを着用していれば、大半の散乱線の被ばくを除去できます。さらに、被写体から十分に距離(2m 以上)を取ることによっても、散乱線の影響は無視できます。


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