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4 放射線の単位
(1)放射線測定に関連する単位
ア 物理量
電離放射線が物質に入射すると、二次電子の放出、さらに二次電子や特性X 線の電離や衝突などによって、エネルギーを付与します。それぞれの過程において、カーマや吸収線量が定義されています。これを物理量と呼んでいます。
イ カーマ
単位物質中に入射してきた非荷電粒子によって発生した、荷電電離粒子すべての最初の運動エネルギーの総和を言います。単位は、J/kg(Gy)。
通常は、放射線の入射した物質に着目し、空気カーマや組織カーマのように物質などの名をつけて呼びます。
ウ 照射線量
X 線の線量を定めるために最初に定義されました。
単位質量中の空気中で、光子によって発生したすべての電子が完全に止まるまでに生じたイオン対の総電荷量を照射線量としました。単位は、C/kg で表わします。
照射線量(X)と空気カーマ(Kair)との間には、W 値(気体中で1イオンペアを作るのに費やされる平均エネルギー)をW とすると、Kair (J/kg)=WX(C/kg)の関係が成り立ちます。
近年は、カーマ概念の確立により照射線量の使用頻度は少なくなってきています。
エ 吸収線量
電離放射線によって、単位物質の体積中に付与されたエネルギーを吸収線量と言います。単位は、J/kg(Gy)で表わします。
カーマは、二次荷電粒子の運動エネルギー、吸収線量は、二次荷電粒子が付与したエネルギーの違いです。物質中のある点で荷電粒子平衡が成立し、制動放射損失が無視できるときは、その点でのカーマと吸収線量は等しくなります。高エネルギーのX 線などの特別な場合を除き、通常は、カーマ=吸収線量としても差し支えありません。
(2)放射線の単位関連図
放射線の線量単位は、その測定の対象によって異なります。図11にその関連を示します。
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