放射線防護技術編
参考資料
3. 放射線の測定 参考ムービーはこちら

7 施設のモニタリング

(1)管理区分

    ア 管理区域
     管理区域は、X 線発生源を中心として、実効線量で3月間につき1.3mSv を超える恐れのある区域を立体的に設定して、放射線障害を未然に防ぐために設定、区画されています。したがって、管理区域の境界が法定以下の線量になっていることの確認のため、線量の測定が義務づけられています。
    イ X 線診療室
     X 線診療室内には、当然X 線発生装置が設置してあります。この室内において、人が常時 立ち入る区域を設置するのであれば、この区域での実効線量は1週間につき1mSv 以下になるように区画し、モニタリングしなければなりません。
    ウ 敷地内居住区域及び敷地の境界
     敷地内に居住する区域がある場合は、その境界及び敷地の境界は、X 線使用室からX 線の 漏えいがあったとしても、3月間で実効線量250μSv を超えないようにしなければなりません。事業所境界の線量測定は、定期的に積算線量計などを用いて、法定線量(250μSv/3月)以下になっていることを監視することが必要です。

(2)測定器の選択

 放射線のモニタリングには、大別すると放射線の線量を測定するものと、漏えい放射線の有無などを測定するものがあります。測定を行うとき、どちらの目的で行うかによって、選択される測定器が異なる場合があります。

 放射線測定器は、その目的に適していない測定器を用いても結果を得られません。不適切な測定器を選択して使用した時に、測定値が全く出なければ間違いに気付くこともありますが、幾つかの測定値が示されると、それが結果だと思いこんでしまいがちです。放射線測定器は、種類と用途が多いので、特に注意が必要となります。

 放射線測定器の選択に当たっては、以下の項目について留意しなければなりません。
 
  • 測定の目的を満たす諸特性を持っていること
    • エネルギー特性(散乱線の影響等を考慮する)
    • 方向特性(放射線源の方向が特定できるか等)
    • 線量・線量率特性
    • 感度(測定下限値が目的として線量または線量率が範囲内に入っていること)
  • 測定しようとする測定限度が十分に読み取れる目盛り及び感度を有していること

    ア 線量率計
     管理区域の設定や、管理区域内の人が常時立ち入る場所の区域の設定などには線量率計が用いられます。この測定値は、法で定められた線量を超えていないことの証明であるため、用いる線量率計は、エネルギー特性の良好な線量率計で、かつトレーサビリティのある校正を行っていることが必要です。一般には、電離箱式サーベイメータなどが用いられます。
    イ 積算型線量計
     管理区域の境界や、事業所境界の定期的な監視には、X 線発生装置を運転させながら測定を行わなければならない線量率計よりも、通常の使用状態を長期間モニターし、わずかずつの線量を集積できる積算線量計で行うのが簡便です。ただし、用いる積算線量計は、測定系を含めて校正されていなければなりません。 次のページへ


Go Back  1/2  Go Next