放射線防護技術編
参考資料
5. 事故等の発生に伴う措置 参考ムービーはこちら

1 X線装置に伴うトラブルや不具合事例

(4)X 線可動絞り

 X 線可動絞りによって、照射野以外へのX 線を大幅に減少させています。経年変化やX 線 可動絞りへの強い外力等により、内部の遮へい物が剥がれたり、ずれたりすることにより、有効な遮へい効果が得られない場合があります。時には思わぬ方向に多量にX 線が照射されることもあり、被ばくの原因になりますので、光照射野とX 線照射が合っているかなど、定期的な確認が必要です。
        
図14 天井懸垂式X 線管保持装置
*:電源を切った場合に安全装置が働くか等を確認します。

図14 天井懸垂式X 線管保持装置

        
図15 ポータブル形X線装置
*:可動部分が多くネジのゆるみ等を確認します。

図15 ポータブル形X線装置

(5)X 線用グリッド

 X 線用グリッドは、アルミ板と鉛箔を交互に積み重ねたもので、散乱X 線を除去する目的で使用します。グリッドは、その材料や構造上物理的衝撃に大変弱く、取扱いに注意が必要です。X 線用グリッドに強い圧力やキズを付けてしまうと、撮影したX 線写真にその影が写り込み、診療に支障をきたす場合があります。定期的にX 線用グリッドのみを撮影して圧迫傷等がないか検査をする必要があります。
 

(6)懸垂保持機構

 X 線管を保持する機構を懸垂保持機構と呼びます。懸垂保持機構の不具合は、脱落や落下等の重大な事故につながります。X 線装置の据え付け時には、懸垂保持機構の試験が行われて安全を確保していますが、長年の使用により、振動でネジが緩んだり、安全装置が故障したりすることもあるので、定期的な点検を必要とします。特に、安全装置を備えていないX 線装置の使用は大変危険です。


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