放射線防護技術編
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参考資料
3. 放射線の測定

2 高エネルギー放射線治療に関わる法令等

(1)法令体系

 獣医療において、直線加速器を用いて放射線治療(高エネルギー放射線治療)を行う場合、主に、2つの法令により規制される(二重規制)。高エネルギー放射線治療に使用する装置は、放射線障害防止法の「放射線発生装置」に該当し、放射線障害防止法第3条の規定に基づき使用の許可を得る必要がある。その装置を獣医診療に使用する場合は、獣医療法の「診療用高エネルギー放射線発生装置」に該当し、獣医療法第3条の前段に規定され、獣医療法施行規則第1条第1項第7号による届出が必要となる。主な2つの法令について、以下に概要を示す。

    1) 放射線障害防止法関連
       a. 使用の許可に当って提出すべき申請書の記載項目(第3条)
      • 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
      • 放射線発生装置の種類、台数及び性能
      • 使用の目的及び方法
      • 使用の場所
      • 放射線発生装置を使用する施設の位置、構造及び設備

       b. 使用の許可の基準(第6条)
      • 地崩れ及び浸水のおそれの少ない場所に設ける。
      • 耐火構造又は不燃材料で造る。
      • 線量限度以下とするために必要なしゃへい壁その他のしゃへい物を設ける
      • 管理区域の境界には、さくその他の人がみだりに立ち入らないようにするための施設を設ける。
      • 放射線発生装置及び管理区域の境界に設けるさく等には、標識を付する。

       c. 使用施設等の変更(第10条)
      • aの氏名等の変更は、変更の日から30日以内に文部科学大臣に届出
      • aのそれ以外の変更は、文部科学大臣の許可(軽微なものを除く)
      • bの変更も文部科学大臣の許可
      • 変更の申請時に許可書を提出

       d. 施設検査(第12条の8)
      • 放射線発生装置を設置したとき、登録検査機関による検査を受け合格した後でなければ使用できない。

       e. 定期検査(第12条の9)
      • 5年ごとに、登録検査機関の検査を受ける。
      • 技術上の基準に適合していること。

       f. 定期確認(第12条の10)
      • 5年ごとに、登録検査機関の検査を受ける(定期検査と同時に受けられる)。
      • 帳簿に記載項目が記載され、保存されていること。

       g. 使用の基準(第15条)
      • 技術上の基準に従って放射線障害の防止に努める。

       h. 測定(第20条)
      • 放射線障害のおそれのある場所について、放射線の量を測定する。
      • 使用施設に立ち入った者について、受けた放射線量を測定する。
      • 測定の結果を記録し、保存する。

       i. 放射線障害予防規程(第21条)
      • 放射線障害を防止するため、放射線発生装置の使用開始前に、放射線障害予防規程を作成し、文部科学大臣に届け出る。
      • 放射線障害予防規程を変更した場合は、30日以内に文部科学大臣に届け出る。

       j. 教育訓練(第22条)
      • 使用施設に立ち入る者に対し、放射線障害予防規程の周知、放射線障害を防止するために必要な教育訓練を実施する。

       k. 健康診断(第23条)
      • 使用施設に立ち入る者に対し、健康診断を行う。
      • 健康診断の結果について記録の作製、保存その他の装置を講じる。

       l. 放射線障害を受けた者又は受けたおそれのある者に対する措置(第24条)
      • 使用施設への立入制限その他保健所必要な措置を講じる。

       m. 記帳義務(第25条)
      • 放射線発生装置の使用に関する事項。
      • その他放射線障害の防止に関する事項。

       n. 使用の廃止届等の届出(第27条)
      • 放射線発生装置の全ての仕様を廃止したとき、その旨を文部科学大臣に届け出る。
      • そのときは、許可の効力を失う。
      • 承継等の届出

       o. 危険時の措置(第33条)
      • 地震、火災その他の災害が起こったことにより、放射線障害のおそれがある場合又は放射線障害が発生した場合、直ちに応急の措置を講じる。
      • 上記の事態が発生した場合、遅滞なく文部科学大臣に届け出る。

       p. 放射線取扱主任者の選任(第35条)
      • 第1種放射線取扱主任者のうちから放射線取扱主任者を選任する。
      • 選任後、30日以内に文部科学大臣に届け出る。

       q. 定期講習(第36条の2)
      • 放射線取扱主任者に3年ごとに定期講習の課目(法令、放射線装置の取扱、使用施設等の安全管理、放射線装置の取扱の事故の事例)を受講させる。

放射線障害防止法 政令 施行規則 様式他
2条:定義 2条:種類    
3条:使用の許可申請   2条:添付書類
10条:提出部数
第1
6条:許可の基準   14条の7:使用施設の基準  
10条:使用施設等の変更 8条:記載内容 10条の2:氏名等の変更
10条の3:軽微な変更
12条:届出部数
第10
第11
告示15条
12条の8:施設検査   14条の13:施設検査を要しない軽微な変更
14条の14:施設検査の申請
14条の16:施設検査合格証の交付

第15
12条の9:定期検査 14条:定期検査の期間 14条の17:定期検査の申請
14条の19:定期検査合格証の交付
第16
12条の10:定期確認 15条:定期確認の期間 14条の20:定期確認の申請
14条の21:定期確認証の交付
第17
15条:使用の基準   15条:使用の基準  
20条:測定   20条:測定 告示18条 20条、21条、24条
21条:放射線障害予防規程   21条:放射線障害予防規程 第25
第26(変更)
22条:教育訓練   21条の2:教育訓練  
23条:健康診断   22条:健康診断  
24条:放射線障害を受けた者・・・   23条:放射線障害を受けた者・・・  
25条:記帳義務   24条:記帳  
27条:使用の廃止等の届出   25条:使用の廃止等の届出 第32,33
33条:危険時の措置   29条:危険時の措置 告示22条
34条:放射線取扱主任者   30条:放射線取扱主任者の選任
31条:放射線取扱主任者の選任等の届出
第36
36条の2:定期講習   32条:定期講習 平成17年告示95号
37条:放射線取扱者の代理   33条:放射線取扱主任者の代理者の選任等 第37


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