放射線防護技術編
参考資料
2. X線の原理とX線装置の仕組

1 X線の発生原理とX線の性質

(6)身体各部のX 線吸収差

 骨や歯などはX 線吸収が大きく、空気や脂肪は吸収が小さいことが知られています。図12は、X 線エネルギーに対する吸収の度合いを示したもので、エネルギーが高くなる(管電圧が高くなる)ほど、水に対する相対的な吸収の割合が小さくなっている(X 線写真で差がわかりにくくなっていく)ことがわかります。

 吸収の度合いの似たものどうしでは、X 線写真でその差がわかりにくいので、管電圧を適切に選ぶ必要があります。例えば、水と脂肪を分けて見るには、管電圧を低くする必要がありますが、吸収の差の大きい骨と脂肪では高い管電圧でも撮影できるという具合です。

 また、X 線条件は、水流に例えることができます。管電圧は水を押し出す力(水圧)であり、管電流と時間は水量と水を流した時間に当たります。つまり、100mA の管電流で1秒間X 線を出すのと、200mA の管電流で0.5秒間X 線を出すのは同じことです。

 そこで、管電流と時間の積を一定と考え、X 線条件を「管電圧×管電流×時間」の代わりに、「管電圧×電流時間積(mAs)」で表わすこともあります。

図12 人体各部のX線吸収差
図12 人体各部のX線吸収差


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