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2 X線装置の基本構成
(1)X 線の発生部(X 線管)
X 線を出す基本部分であるX 線管は、電極の構造及び機能により次のように分類できます。
(2)X 線管の構造
X 線管は基本的には、陰極、陽極、真空外囲器の3要素から構成されており、特に電子ビームが衝突する陽極部をターゲットと呼びます。このターゲットに電子ビームが衝突するときにX線は発生します。
陽極が回転構造になっていないものを固定陽極X 線管と呼び、このターゲット面の局部過熱を防ぐ目的で傘状のターゲットを高速で回転させる構造のものを回転陽極X 線管と呼びます。
図14、図15は代表的な固定陽極X 線管と回転陽極X 線管の構造です。
回転陽極X 線管の場合には、陰極、陽極、外囲器の3要素のほかに、ターゲットを回転させるための、ベアリングを含めた回転機構が付随しており、高真空、高温下でベアリングを回転させるための潤滑技術等、ほかに類を見ない過酷な条件を克服する技術が要求されています。
回転陽極X 線管の大部分は、ハウベと呼ばれる特殊な容器に絶縁油とともに密閉されたX線管(図16)として病院等の施設に供給されており、このハウベ内部には陽極を回転駆動させるためのステーターコイル等が内蔵されています。また、1000℃ 以上の高温となるターゲットからの熱を受けて、100℃ 近くまで温度が上がる絶縁油を冷却するためのオイル循環クーラーを備えた装置が、CT 用X 線管などの大型管では一般的になっています。X 線管の設計は熱との戦いであるとも言えます。
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図16 回転陽極X線管を絶縁油とともに密閉するハウベの例 |
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