放射線防護技術編
参考資料
3. 放射線の測定 参考ムービーはこちら

2 測定器の種類と原理

(2)気体の電離作用を利用した測定

    ア GM 計数管
     GM 計数管はガイガー・ミュラー管の略で、考案者2人の名前から命名されました。原理は、図2のように気体の電離作用を利用したもので、電極間の電圧を高くしてあります(1000V前後、GM 計数管領域)。このため、放射線によって電離された電子が電極まで移動する間に運動エネルギーを得て、さらに周辺のガスを電離します。したがって、入射放射線の量に関係なく、計数管内のガスが電離されると一定の高出力が得られます。また、入射窓は、ベータ線や電子線の入射を容易にするため、雲母またはマイカの膜となっています。
図2 GM計数管の原理
図2 GM計数管の原理

    イ 電離箱
     電離箱は、一定容積の空気箱の中に電極を入れ、放射線によって電離された容器内の電子を電極に集荷し、出力を測定します。電極の形状によって、平行平板型や、円筒状容器または球体容器の壁面を陰極とし、容器の中心に陽極を配した、円筒型あるいは球体型があります。

     検出原理は、図3のように二つの電極間に直流電圧をかけ、容器内の空気(あるいはガス)が電離されて発生する、電子と陽イオンを電極に集めて信号を得る方法です。発生した電流を、高い抵抗を通すことによって電圧に変換し、これを測定すれば、その時の電離量が測定できるので、電流を蓄電器(コンデンサー)に集積して電位の上昇を測定すれば、集積線量が測定出来ます。

     電離箱は、照射線量や空気カーマの定義に近い測定が出来るので、空間線量の正確な測定に適しています。ただし、低線量の放射線の測定にはあまり向いていません。
図3 電離箱の原理
図3 電離箱の原理

    ウ 比例計数管
     電離箱内の2極間の電圧を上昇させ、ある電圧以上になると、容器内で放射線によって作られた電子は陽極の近くの電場で加速され、付近の気体を二次的に電離するようになります。回路の出力は、放射線によって電離された電子の他に、二次的に電離された電子も含まれるため、一次電離電流よりも大きな出力が得られるようになります。比例計数管は、このような気体の増幅作用を利用した測定器です。
    エ DIS 線量計
     DIS 線量計とは、放射線によって電離した電子を集荷するための電極が、不揮発性メモリ素子(MOSFECT トランジスタ)を使用した構造になっている線量計です。DIS は、Direct Ion Storageの略です。電荷を直接不揮発性メモリに蓄積するため、構造が簡単なことと、小型化できる特徴があります。ただし、直読できないので専用のリーダが必要です。 次のページへ


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