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2 測定器の種類と原理
(1)気体の電離と検出
荷電粒子が気体中を通過すると、気体を電離し(放射線と物質の相互作用)、気体中に電子と陽イオンを発生させます。気体を閉じこめた容器の中に、陽極と陰極の2極を配置し、その間に直流電圧を印加して電圧を上昇させると、容器内で発生した電子と陽イオンは、気体中を移動して両極に捕獲され、電流が流れます。放射線の測定器は、この電流を直接計測したり、抵抗を介して、電圧をパルスとして取り出して計測したりしています。
図1は、荷電粒子1個が入射した時に発生する、電子と陽イオン対の数を陽極の電圧の関係で表わしています。
電極間の電圧が低い場合は、イオンが電極に移動する間に再結合してしまうものがあるため、出力される電流は、電離された量よりも少なくなります。これは、電圧が低いと、電極までイオンが移動するのに時間がかかるためです。この現象が起こる電圧の領域を、再結合領域と呼びます。
電極間の電圧を徐々に上昇させていくと、電極に引き寄せられるイオンのスピードが速くなり、再結合が起きにくいため、電離された量に応じた出力が得られるようになります。この時の領域を、電離箱領域と呼びます。
電極間電圧をさらに上昇させていくと、電子は陽極付近の電場で加速され、運動エネルギーを得るために付近の気体をまた電離するようになります。したがって、陽極側に出力される電離電流は、放射線による一次電離量よりも大きな出力になります。この時の領域を比例計数管領域と呼びます。このように加速された電子によって、二次、三次と連続的に起こす電離をガス(気体)増幅といいます。
さらに電圧を高くして行くと、ガス増幅がさらに大きくなり、電子による電離が雪崩れ状に起こります。いわゆる放電状態です。電子は軽いので、陽極側に速やかに移動しますが、陽イオンは移動速度が遅いため、陽極の周りを一時的に鞘状にブロックし、徐々に陰極側へ移動します。この時に大きな出力が得られます。電離によって発生した電子の量には関係なく、一定の放電によって一定の大きさの出力が得られことになります。この領域をGM 計数管領域、またはガイガー放電領域と呼びます。
電極間電圧をさらに上昇させて行くと、荷電粒子の入射量とは関係なくコロナ放電を起こし、放電状態が連続して起こるようになります。この領域を連続放電領域と呼びますが、測定には使用できません。
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