放射線防護技術編
参考資料
3. 放射線の測定 参考ムービーはこちら

3 測定器の特徴と使用上の注意

(1)各種サーベイメータの特徴と取り扱い

    ア 電離箱式サーベイメータ
      (ア)特徴
       放射線による空気の電離量を測定原理としているため、照射線量の定義に合った測定法になっています。このため、エネルギー特性が良好で、X 線の測定に適しています。反面、検出感度を上げるためには、電離箱容量を大きくするか、高気圧のものを作る必要があります。また、電離箱の気密性が悪いと気温や気圧の影響を受けやすくなります。なお、微弱電流を取り扱うため、湿度の影響を受けやすいという弱点もあります。
      (イ)エネルギー特性
       検出器は空気であり照射線量の定義に忠実であるため、他の検出方法に比べエネルギー特性を格段に良くすることが出来ます。
      (ウ)方向特性
       電離箱の形状、材質、電極の構造に配慮して、方向特性が良好になるように作られています。多くは、前方向入射に対して、側方向の入射でも同一の感度を有しています。
      (エ)使用上の注意
      • 湿度を嫌うので、保管は乾燥剤等を入れた保管箱に収納します。
      • 低線量率の測定は、バックグランド放射線の影響を受けやすいので、積算線量測定モードを使用するなどの工夫が必要です。
      • 使用前には、バッテリーの確認、時定数の確認、バックグランド値の測定を行い、異常のないことを確認します。
      • エネルギー特性が良好であることから、管理区域境界の線量測定や漏えい線量の測定などに利用します。
    イ GM 管式サーベイメータ
      (ア)特徴
       電離箱の原理を応用していますが、電離電流の取り出しにガス増幅作用を利用しています。このため、入射放射線のエネルギーに関係なく大きな出力パルスを得ることが出来ます。したがって、高感度の測定器を作りやすい特徴があります。
      (イ)エネルギー特性
       電離箱に比べエネルギー特性は良くありません。低エネルギー領域において、感度が急激に低下する特性を持っています。
      (ウ)方向特性
       検出器の形状が細長い円筒形のものが多いため、正面から放射線が入射した場合と、側面から放射線が入射した場合とでは、側面から入射した方が感度が高くなる傾向があります。したがって、測定器の校正時にどの方向からの入射で行ったかを確認し、同一方向から放射線が入射するようにして測定しなければなりません。
      (エ)使用上の注意
       GM 計数管には、不感時間と言う特徴があります。X 線の利用線錐を直接測定するなど、高線量率領域の測定では、数え落とし現象が発生し、正確な測定が出来ません。
       エネルギー特性が、低エネルギー領域においてあまり良くないので、散乱線を多く含むような場所で測定を行うには注意を要します。
    ウ シンチレーション式サーベイメータ
      (ア)特徴
       蛍光物質の発光作用を利用した測定器です。光電子増倍管を使用することで、電気的増幅度を大きく取れるため、感度を高くすることが出来ます。蛍光物質の形状を球体、円筒形とすることで、方向特性を改善することができます。
      (イ)エネルギー特性
       蛍光量は、蛍光物質が異なると、同一エネルギーでも異なります。また、蛍光物質の発光量は、入射エネルギーに依存します。なお、NaI(ヨウ化ナトリウム)などの蛍光物質は潮解性があるため、表面を金属の密閉容器で覆っています。このため、50keV 以下のエネルギーに対しては、感度をカットしているものがあるので注意が必要となります。
      (ウ)方向特性
       検出体である結晶の形状は通常円筒形ですが、直径に対して高さ方向も同様の寸法なので、前方と側方からの検出感度を同様になるようにしています。このため、前方から側方までの方向特性は良好です。結晶の後方に光電子増倍管や電子回路が組み込まれるため、後方からの感度は、極端に低くなるので、放射線の入射方向に検出器を常に向けるようにします。
      (エ)使用上の注意
       X 線、γ 線に対しては、非常に高感度ですが、低エネルギー領域において感度が極端に低くなるため、使用する目的に合わせて用いなければなりません。漏えい線の有無の検出などには有効ですが、散乱線を含む線量の正確な測定には不向きです。 次のページへ


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