|
2 事故等の発生時の対応
(2)報告
何らかの事故が起きて、緊急に作業を行った場合で、等価線量の限度が、眼の水晶体については300mSv、皮膚については1Sv を超えた場合には関係する監督官庁に報告する必要があります。
また、X 線診療従事者は個人線量計を着用して被ばく線量の把握を行いますが、被ばくした実効線量が、5年ごとに区分した各期間の限度である100mSv を超えた場合、あるいは年度の等価線量の限度である眼の水晶体で150mSv、皮膚で500mSv 超えた場合も、同様に報告する必要があります。
(3)健康診断
万一、大量の被ばくをした場合は、遅滞なく医師の診察を受けなければなりません。また、X 線診療従事者は、定期的に健康診断を行い、身体への被ばくの影響を管理します。
定期的な健康診断の項目は以下のとおりです。
- 被ばく経歴の評価
- 末梢血液中の白血球数及び白血球百分率の検査
- 末梢血液中の赤血球数の検査及び血色素量又はヘマトクリット値の検査
- 白内障に関する眼の検査
- 皮膚の検査
(4)教育訓練
教育訓練は、放射線の事故時の対応はもちろん、事故防止にも有効です。使用する施設に合わせた教育訓練プログラムを作成して、定期的に行いましょう。とかく座学教育のみが行われる傾向がありますが、事故を想定したシミュレーション訓練は、実際に動作を行うことが、事故発生時の冷静な行動につながるため、消防訓練と同様に、各施設に応じた、現場での訓練が重要です。
教育訓練の項目は、一般的には以下のとおりです。
- 放射線の人体に与える影響に関すること
- 放射線障害の防止に関する法令に関すること
- X 線装置等の取扱いに関すること
(5)記録
獣医療法施行規則においても、事故の場合の措置として、事故の発生した日時、事故の原因、障害の発生状況、管理者が行った対応措置、事故により被ばくした者に係る実効線量当量、その他の必要な事項を記録しておくとともに、記録を保存しなければならないことが定められています。また、X 線診療時の被ばく事故による影響は、月日が経過してから出てくることもあるので、事故の時には、状況をできるだけ詳細に記録しておく必要があります。設定した管電圧や管電流、照射時間、X 線管の向きや被ばくした場所、遮へい体の位置などを、平面図を用いて記録すると良いでしょう。詳細な記録があれば、たとえ被ばく線量計を着用していなかった人が被ばくしても、計算によって、ある程度被ばく線量を予測できます。 |
|
|
2/2 |
|
|
|
|