放射線防護技術編
参考資料
5. 事故等の発生に伴う措置

【参考(3)】獣医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について

(農林水産省生産局長通知)

      (8)線量の測定等(第14条)
        ア 第1項第1号の規定において、従前は、「放射線測定用具」とは体に装着して測定できる個人被ばく線量計を意味していたが、平成13年の改正により、名称が「放射線測定器」に統一された。
         この場合における「放射線測定器」のうち、個人被ばく線量測定に関する規定については、従前通り、個人被ばく線量計のような「放射線測定器」を意味する。
         なお、測定することが著しく困難な場合にのみ、計算によって算出することが認められる。
        イ 同項第2号に規定する女子の個人被ばく線量の測定方法は、従前は、「妊娠不能と診断されたものを除く女子」にあっては腹部とされていたが、今回の改正により、「妊娠する可能性がないと診断された者及び妊娠する意思がない旨を診療施設の管理者に書面で申し出た者を除く女子」にあっては腹部で測定することとされた。
         この場合において、妊娠の意思がない旨を管理者に書面で申し出ることによって、5ミリシーベルト/3月間の実効線量限度の適用を受けないこともできることとされたが、この規定の具体的な運用に当たっては、別紙1に示す「女子の線量限度の変更に伴う書面の運用に係る留意事項」を参考にし、徹底されるよう指導されたい。
         なお、上記以外の女子にあっては、使用の状況に応じて、胸部又は腹部のうち適切な方で測定するものとする。
        ウ 同項第4号に規定する外部被ばくによる測定については、従前通り、管理区域に立ち入っている間継続して行う。
        エ 外部被ばくによる実効線量の算定方法については別途「獣医療法施行規則第14条の規定に基づき農林水産大臣が定める方法を定める件」(平成13年3月26日農林水産省告示第449号。以下「告示第449号」という。)に定められたので、当該告示を参照されたい。
      (9)エックス線診療従事者等に係る線量の記録(第15条)
        ア 実効線量及び等価線量にあっては、4月1日、7月1日、10月1日及び1月1日を始期とする各3月間ごとの合計並びに4月1日を始期とする1年間ごとの合計と、新たに始期が設けられた。
        イ 100ミリシーベルト/5年間の線量限度が新たに設けられたことに伴い、ある年度の実効線量が20ミリシーベルトを超えた場合は、当該1年間以降は、当該1年間を含む平成13年4月1日以後5年ごとに区分した各5年間の累積実効線量(4月1日を始期とする1年間ごとに算定された実効線量の合計)を毎年度記録し、その記録を診療施設において保存するとされた。
        ウ 女子(妊娠不能と診断された者を除く。)に係る記録については、これまで1月ごと、3月ごと及び1年ごとであったが、今回の改正により、女子(妊娠する可能性がないと診断された者及び妊娠する意思がない旨を診療施設の管理者に書面で申し出た者を除く。)にあっては、毎月1日を始期とする各1月間ごとの合計、4月1日、7月1日、10月1日及び1月1日を始期とする各3月間ごとの合計並びに4月1日を始期とする1年間ごとの合計と、新たに始期が設けられた。
      (10)エックス線診療従事者等の遵守事項(第16条)
        ア 診療施設の管理者はエックス線診療従事者等に、(ア)〜(ウ)に掲げるいずれかの措置を講ずることによりエックス線診療従事者等の被ばく防止に細心の注意を払うよう指導をお願いする。

          (ア) 遮へい壁その他の遮へい物を用いることによりエックス線の遮へいを行うこと。
          (イ) 遠隔操作装置又はかん子を用いることその他の方法により、エックス線装置と人体との間に適当な距離を設けること。
          (ウ) 人体がエックス線に被ばくする時間を短くすること。
           これらは、エックス線診療従事者等の被ばく防止を図るための基本的な措置を示したものである。
        イ 診療施設の管理者はエックス線装置の使用に当たって、エックス線診療従事者等に(ア)〜(ウ)に掲げる事項を遵守させるよう指導をお願いする。

          (ア) 保定は、保定具又は医薬品により行うこと。ただし、保定具又は医薬品により保定を行うことが困難な場合であって、必要な防護措置を講じたときは、この限りでない。
           この規定は、獣医療においては、エックス線撮影等を実施する場合に保定を行うことが不可欠であるが、放射線防護の観点から、保定は、原則として人手によらず、保定具、麻酔薬等により行うべきものであることを示したものである。しかしながら、疾病の性質上、保定具、麻酔薬等による保定が行えない場合等については、例外的に、必要な防護措置を講じた上で人手による保定を行うことができる。「必要な防護措置」としては、利用線すい内に保定を行う者の身体の一部たりとも厳に入らないようにするとともに、保定を行う者に防護手袋のほか防護衣、防護前掛け、防護メガネ等の防護具(鉛当量0.25ミリメートル以上のもの)を着用させることとする。
          (イ) エックス線装置を使用しているときは、エックス線診療室の出入口にその旨を表示すること。
           この規定は、エックス線装置を使用している場合に、その旨を関係者に周知するためのものであり、表示の方法としては、点燈、ブザー等が該当する。
          (ウ) エックス線装置をエックス線診療室以外の場合において使用する場合は、エックス線管の焦点から3メートル以内の場所に必要のある者以外が立ち入らないような措置を講ずるとともに、人の立ち入らない方向に照射し、又はエックス線を遮へいする措置を講ずること。
           牛、豚等の産業動物等の診療においては、放牧地、畜舎内等のいわゆる野外でエックス線装置を使用することがその業務の性格上必要不可欠であることから、その場合の遵守事項を規定したものである。
           「必要のある者以外の者が立ち入らないような措置」とは、ロープ、旗等により当該区域を区画すること等が該当する。
           なお、野外におけるエックス線装置の使用に際しては、当該区域の近隣に居住する者等の一般人の放射線による被ばく防止に十分な注意を払うよう指導をお願いする。
      (11)エックス線装置の定期検査(第17条)
       診療施設の管理者は、エックス線装置について、定期的に検査を行い、その結果に関する記録を5年間保存しなければならない。
       この規定は、エックス線診療従事者等の被ばくを防止する観点から、エックス線装置について定期的な検査を実施することを義務付けるものである。
       定期検査においては、エックス線管装置、高電圧発生装置、エックス線制御装置等の異常及び破損の有無、漏えい放射線の有無及びその線量当量率又は線量当量並びに照射野等を検査項目として、3年に1回程度を目安として実施することとする。なお、この検査は、専門機関等に委託して実施することが望ましい。 次のページへ


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