放射線防護技術編
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獣医診療現場における放射線防護の実際

1. 放射線防護の3原則

Y 厩舎関係者への注意

      (社)日本獣医学会のガイドラインでは、下記に関する説明を厩舎関係者に対して検査前に実施し、同意を得 ることが求められています。厩舎関係者が同意した場合はその同意書を3年間保管しなければなりません。
    1. 骨シンチグラフィー検査の目的
    2. 検査の手順
    3. 馬の入院期間
    4. 馬が退院した後、厩舎関係者がわずかではあるが被ばくする可能性があること
    5. 退院後の馬の取り扱い
    6. 検査中に死亡した場合は一定期間管理区域からは退出できなくなること
    7. 骨シンチグラフィー検査について理解した上での同意書への署名
      また、退院後一日程度守ってもらいたい馬の飼養管理に関する注意事項を口頭で説明し、併せて文書でも 注意を促します。
    1. 診療馬への接触は原則的に最小限にすること
    2. 妊婦あるいは授乳をしている人、および乳幼児は近づけさせないこと
    3. 馬糞や敷料の処理後は必ず手指をよく洗浄すること
    4. 退厩後は原則的に自厩舎に繋留すること
    5. 緊急の治療が必要になった場合は、治療を行なう獣医師に放射性医薬品を投与したことを知らせ、
      骨シンチグラフィー検査を実施した獣医師にも連絡する


Z 検査中に馬が死亡した場合の対応

      管理区域からの退出前に馬が死亡した場合は、退出基準を満たせば退出できますが、(社)日本獣医学会が作 成した「核医学診療中に診療動物が死亡した場合のガイドライン」に沿った対応が必要になります。
     ここでは、施設の管理者は死亡した馬の適切な処置と処分経路を確保すること、院内規則にその取り扱いを記述することが求められています。
     死亡した馬には放射性物質であることを示す標識をし、管理区域内の適切な保管場所で48時間以上減衰保管します。死亡時と搬出時の線量測定を実施し、搬出時の記録とともに5年間保存します。なお、死亡し た馬を取り扱う際は専用白衣やビニールエプロン、専用履物、使い捨てゴム手袋や必要に応じて鉛エプロン を着用します。


[ 症例(米国での症例)

  1. X 線検査では骨折線が確認できない脛骨の骨折(図15、図16)
    図15 脛骨骨折のX 線写真、図16 脛骨骨折の骨シンチグラフィー像
  2. 肩甲骨の疲労骨折(図17)
    図17 肩甲骨疲労骨折の骨シンチグラフィー像
  3. 左上腕骨の疲労骨折(図18)
    図18 上腕骨の疲労骨折の骨シンチグラフィー像
  4. 第3中手骨の疲労骨折(図19)
    図19 第3中手骨の疲労骨折


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