■X線装置に関する放射線防護  
7.関係法令等及び法令に関する解説  
 

エックス線装置の防護

第8条 診療施設の管理者は、エックス線装置について、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 エックス線管の容器及び照射筒は、利用線すい以外のエックス線量が次に掲げる自由空気中の空気カーマ率(以下「空気カーマ率」という。)になるように遮へいすること。
イ 定格管電圧が50キロボルト以下の治療用エックス線装置にあっては、エックス線装置の接触可能表面から5センチメートルの距離において、1.0ミリグレイ毎時以下
ロ 定格管電圧が50キロボルトを超える治療用エックス線装置にあっては、エックス線管焦点から1メートルの距離において10ミリグレイ毎時以下かつエックス線装置の接触可能表面から5センチメートルの距離において300ミリグレイ毎時以下
ハ 定格管電圧が125キロボルト以下の口内法撮影用エックス線装置にあっては、エックス線管焦点から1メートルの距離において、0.25ミリグレイ毎時以下
ニ イからハまでに掲げるエックス線装置以外のエックス線装置にあっては、エックス線管焦点から1メートルの距離において、1.0ミリグレイ毎時以下
ホ コンデンサ式エックス線高電圧装置にあっては、充電状態であって、照射時以外のとき、接触可能表面から5センチメートルの距離において、20マイクログレイ毎時以下
<エックス線装置の防護@>
○ 本条はエックス線装置の防護に関して規定しています。エックス線管の容器及び照射筒は、利用線すい以外のエックス線量が基準以下になるように防護しなければなりません。
○ 「利用線すい以外のエックス線量」とは、当該エックス線管の容器又は照射筒からの漏えい線量です。


二 エックス線装置には、次に掲げる利用線すいの総ろ過となるような付加ろ過板を付すること。
イ 定格管電圧が70キロボルト以下の口内法撮影用エックス線装置にあっては、アルミニウム当量1.5ミリメートル以上
ロ 治療用エックス線装置及びイに掲げるエックス線装置以外のエックス線装置にあっては、アルミニウム当量2.5ミリメートル以上
<エックス線装置の防護A>
○ エックス線装置には、利用線すいの総ろ過となるような付加ろ過板を付けます。治療用エックス線装置以外のエックス線装置には、アルミニウム当量2.5ミリメートル以上の付加ろ過板を付けます。ただし、定格管電圧が70キロボルト以下の口内法撮影用エックス線装置は、アルミニウム当量1.5ミリメートル以上の付加ろ過板でも可能です。
○ 付加ろ過板の目安は、次のとおりです。
管電圧(波高値) 使用ろ過板
20kV以下
20〜120kV
120〜400kV
400kV以上
セロファン
アルミニウム




2 診療施設の管理者は、透視用エックス線装置について、前項に規定するもののほか、次に掲げる措置を講じなければならない。 。
一 透視時間を積算することができ、かつ、透視中において一定時間が経過した場合に警告音等を発することができるタイマーを設けること。
二 利用するエックス線管焦点受像器間距離において、受像面を超えないようにエックス線照射野を絞る装置を備えること。ただし、次に掲げる場合には、受像面を超えるエックス線照射野を許容するものとする。
   イ 受像面が円形でエックス線照射野が矩形の場合において、エックス線照射野が受像面に外接する大きさを超えないとき。
   ロ 治療用エックス線装置及びイに掲げるエックス線装置以外のエックス線装置にあっては、アルミニウム当量2.5ミリメートル以上
三 利用線すい中の蛍光板、イメージインテンシファイア等の受像器を通過したエックス線の空気カーマ率が、利用線すい中の蛍光板、イメージインテンシファイア等の受像器の接触可能表面から10センチメートルの距離において、150マイクログレイ毎時以下になるようにすること。
四 透視時の最大受像面を3.0センチメートル超える部分を通過したエックス線の空気カーマ率が、当該部分の接触可能表面から10センチメートルの距離において、150マイクログレイ毎時以下になるようにすること。
五 利用線すい以外のエックス線を有効に遮へいするための適切な手段を講じること。
<エックス線装置の防護B>
○ 本条第2項は、透視用エックス線装置の防護について規定しています。
○ 透視を行う場合、エックス線診療従事者等は、放射線防護の観点から、できる限り防護衝立等の後ろで作業することが推奨されますが、作業上難しい場合、防護衣や防護手袋を着用するなど適切な防護措置を講じる必要があります。
○ 「透視時間を積算する」とは、透視中の時間を把握することです。エックス線診療従事者等の被ばく線量を抑制するため、透視中に一定時間が経過した場合に警告音等を発するタイマーを設けることが必要です。
○ 「利用線すい以外のエックス線を有効に遮へいするための適切な手段」とは、被照射体からの散乱線及びエックス線装置と被照射体との間に設けられた散乱体による散乱線に対するエックス線診療従事者等の放射線防護を言います。



3 診療施設の管理者は、撮影用エックス線装置について、第1項に規定するもののほか、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 利用するエックス線管焦点受像器間距離において、受像面を超えないようにエックス線照射野を絞る装置を備えること。ただし、次に掲げる場合にあっては受像面を超えるエックス線照射野を許容するものとし、口内法撮影用エックス線装置にあっては照射筒の端におけるエックス線照射野の直径が6.0センチメートル以下になるようにするものとすること。
   イ 受像面が円形でエックス線照射野が矩形の場合において、エックス線照射野が受像面に外接する大きさを超えないとき。
   ロ 照射方向に対し垂直な受像面上で直交する2本の直線を想定した場合において、それぞれの直線における交点間距離の和がそれぞれ焦点受像器間距離の3パーセントを超えず、かつ、これらの交点間距離の総和が焦点受像器間距離の4パーセントを超えないとき。
二 移動型及び携帯型のエックス線装置並びに手術中に使用するエックス線装置にあっては、エックス線管焦点及び被照射体から2メートル以上離れた位置において操作できる構造とすること。
<エックス線装置の防護C>
○ 本条第3項は、撮影用エックス線装置の防護について規定しています。エックス線撮影の際、被照射体からの散乱線の発生を少なくする措置について規定しています。
○ 移動型及び携帯型のエックス線装置を使用する場合、エックス線管焦点及び被照射体からエックス線診療従事者等のまでの距離を2メートル以上に保たなければなりません。



4 診療施設の管理者は、治療用エックス線装置(近接照射治療装置を除く。)について、第1項に規定するもののほか、利用線すいの放射角がその使用の目的を達するために必要な角度を超えないようにするとともに、ろ過板が引き抜かれたときエックス線の発生を遮断するインターロックが作動するろ過板保持装置を設けなければならない。
<エックス線装置の防護D>
○ 本条第4項は、治療用エックス線装置の防護について規定しています。
○ 治療用エックス線装置には、ろ過板が引き抜かれた際に、エックス線の発生を遮断するインターロックが作動する装置を設ける必要があります。